堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
そう言って微笑んだ母の目には、涙が浮かんでいた。
小さなころからずっと母が泣く姿なんて見たことがなかった。父の死や、車いすでの生活のことも、悲観的に話すことなんてなかったのに……。
ずっと強い人だと思っていた母も、私が今まで気づかなかっただけで、たくさん涙を流してきたのだ。今までも母の思いを想像しなかったわけじゃないけれど、表面上明るく振舞う母に、甘えてばかりだったよ……。
「ごめんね、お母さん」
思わず涙ぐんで謝る私に、母は苦笑する。
「なんで謝るのよ、ありがとうって言ってるのに」
「だって……」
「ほらほら、翔音が泣き出した。そろそろ授乳の時間なんじゃないの?」
渇を入れるようにバシッと背中を叩かれて、私は力強く頷いた。
そうだ、めそめそしている場合じゃない。私はもう、自分自身が〝お母さん〟なんだ。
母のように強くて優しい母親になれるように、頑張らないと。私は涙を拭い、新生児室の翔音のもとへ急いだ。