堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「志門さん、チョコが」

 自分の口元を人差し指でトントンと指しながら教える。志門さんは少しはにかんで、その部分をナプキンでそっと拭った。

「カッコ悪いところを見られてしまったな。いつもはモカを飲むだけでケーキは頼まないんだが、今日もそうすればよかった」
「私は同じものを頼んでくれてうれしかったですよ。美味しいって言った時に、共感してくれる相手がいるといないとでは全然違いますもん」

 にっこり微笑んで告げたことは、本当の気持ち。志門さんは男性だから、カフェではコーヒーを飲むくらいなのかと思っていたけれど、コーヒーもケーキも同じものをふたつずつ注文してくれてうれしかったんだ。

 美味しいって目を合わせて笑い合ったり、感想を言い合ったりできるなって。

「……よかった。じゃあ俺は、瑠璃のひとり旅の邪魔にはなってない?」
「もちろんですよ。こんな素敵なカフェに連れてきてもらえたし」

 コーヒーカップを手に取り、両手で包み込むように持って口をつけた。泡立てたミルクのまろやかさと濃い目のブラックコーヒーの苦みが絶妙に合わさって、ホッとする味だ。

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