堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「それで、瑠璃の電話番号を友里恵に伝えて、しばらくたった後だ。タクシーで自宅で帰ろうとしていた俺に、また友里恵から電話があった。『これから瑠璃さんと会うの。たぶん、あなたは二度と彼女に会えなくなるから、なにか伝えてほしいことはない?』って。俺はそこで初めて気がついたんだ。友里恵が抱える憎しみと、瑠璃に迫っている危険に……」
あの時、私に電話してきた志門さんはどこか焦っていた。友里恵さんから犯行をほのめかすようなことを告げられ、一刻も早く私のもとへ駆けつけようとしてくれていたんだ。
「でも、遅すぎた……。もっと早くに気づいていれば、瑠璃を長い間悲しませることもなかったのに」
後悔を滲ませてそう語る志門さん、私は「いいえ」と首を振る。
「志門さんは、私のことも翔音のこともしっかり守ってくれた。私に関する記憶はなくしてしまったけれど、あなたは精一杯優しくしてくれたし、ずっとそばにいてくれた。だから、私も志門さんを愛し続けることができたんです」
「瑠璃……」
「だから、もう過去のことを気に病むのはやめましょう? 今夜はせっかくの舞踏会なんですから、楽しまないと損です」
にっこり微笑みかけると、志門さんも穏やかに笑って頷いてくれた。そして私の手を取って、立ち上がる。思い出の仮面舞踏会に、私をエスコートするために。