堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
私のために頭を悩ませてくれているようでなんだか申し訳ないな……。
恐縮しながらケーキを食べ進めていると、ふと頭にいいアイデアがひらめいた。
「志門さん、いいこと思いつきました」
「いいこと?」
首を傾げる彼に、私は大きく頷いて告げる。
「私、志門さんの解説付きで、ウィーンの個性的な建築物をたくさん見たいです。できれば、そのガイドブックに載っていないところ」
せっかく建築に詳しい志門さんと一緒に観光できるのだ。だったら、ガイドブックに写真も説明もいっぱい載っている王道スポットは後回しにして、今日は志門さんおススメの場所を巡ってみたい。
「なるほど……それは確かにいい考えだな。でも、つい熱が入ってマニアックすぎる解説をするかもしれない。その時は瑠璃が止めてくれる?」
「ふふ、わかりました。マニアックに建築を語る志門さんもちょっと見たいですけど」
「瑠璃、面白がるつもりだろ。まずいな、できるだけ自重しよう」
顎に手をあてて難しい顔をする志門さんがおかしくて、クスクス笑ってしまう。見た目はとっても高貴で洗練されている彼だけれど、ときどき人間らしい言動で私の心を和ませる。
そのギャップがとても魅力的に思えて、彼と一緒に過ごす時間がすっかり楽しくなっていた。