堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
丁寧にお礼を言って、女性はちょうど木陰になっている席まで自力で車いすを動かしていった。その元気そうな姿に小さく微笑み、私も志門さんの待つ席に戻った。
「瑠璃はいつでも、困っている人を見るとすぐ体が動くんだな。尊敬するよ」
志門さんにおおげさに感心され、私は恐縮する。
「いえ……実は、母が車いすなんです。だから、車いすの人が困っている時には自然と体が動くようになって」
「お母さん、足が悪いのか?」
「はい。……私が生まれて間もない頃、車で事故に遭って。運転していた父は亡くなり、母は下半身が不自由に……。後部座席のチャイルドシートにいた私と兄だけが無傷でした」
志門さんが、眉根を寄せて沈痛の面持ちになる。そういえば、周囲の人にそんな顔をさせてしまうのが嫌だから、この話を誰かにするのは久しぶりだ。
でも、今現在の私たち家族は、お互い助け合って、楽しく生きている。そのことを志門さんにもわかってほしくて、私は続ける。