堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
困ったな……あまり時間はないのに。とりあえず、スマホで検索したもう一軒のショップに行ってみよう。
そう決めて再び歩き出したまではよかったのだけれど……。
「やばい。迷った……」
十分ほど歩いたところで、自分の位置を見失った私は、街の一角で迷子になっていた。
周囲の建物を見ると、現代風の店が多かったさっきのエリアよりは歴史的建造物が多い、クラシカルな雰囲気。でも今は、街並みを楽しんでいる場合じゃ……。
地図アプリを起動させたままのスマホを片手に、あちこちさまよって目印になるようなものを探していた時だった。細い路地を通り抜けようとして、その途中で気になるお店を見つけた。
「素敵……」
うっかり見逃してしまいそうなほど小さな店だが、ガラス張りのディスプレイには、控えめでエレガントな、グレイッシュピンクのイブニングドレスを着たマネキンが飾られていた。店の外壁も、白とパステルグリーンの淡い色合いがかわいらしい。
ここも、ドレスショップなのかな……。私はなんとなく胸を弾ませ、入り口のドアノブを掴んで引いた。