堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「楽しんでいらっしゃい、ルリ」
「ありがとう、ソフィー。行ってきます」

 店から一番近い大通りまで見送ってくれた優しいソフィーの声に背中を押されるようにして、私は手配してもらったタクシーで、ホーフブルクを目指した。


 ムーディーにライトアップされた夜のホーフブルク。タクシーを降りていざその巨大で豪華なたたずまいを間近で目の当たりにすると、思わず圧倒されてしまった。

 どこへ向かえばいいのかと辺りをキョロキョロ見回すと、おそらく同じ舞踏会に参加するのであろう正装した男女が大勢、同じ方向に向かって歩いているのに気がつく。

 あっちに入り口があるのかな……。私も彼らにならって、オドオド宮殿のエントランスから中へ入っていった。

 迷路のように入り組んだバロック建築の中には、ハプスブルク家の一族であろう人物の肖像画や彫像、巨大なタペストリーなど、つい足を止めてじっくり見学しくなる美術品や装飾が数えきれないほどあった。

 こんなにすごい場所で舞踏会を開くなんて、主催者はいったいどんな人なんだろう……。

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