堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
真摯な眼差しで諭されて、私の覚悟もようやく決まる。
彼は、今日初めて会ったばかりの、この広々としたホールの人波に埋もれてしまうほど背の小さな私を、仮面をつけて顔だってわからないのに、あっという間に見つけ出してくれたのだ。生半可な気持ちでできることではない。
この人の言葉なら、信じられる。信じて……すべてを委ねてみたい。
「私を連れて行ってください、あなたの部屋に」
私の答えを聞いた志門さんはその場に跪き、王子様のように手の甲に口づけをすると言った。
「仰せのままに、お姫様」
そのまま彼に手を引かれ、いまだに大勢の仮面の男女がダンスで盛り上がる舞踏会を、ふたりでこっそり抜け出した。
ホールから離れるにつれオーケストラの演奏の音も遠ざかり、人気のない宮殿の廊下はとても静かだった。
その一角で志門さんが不意に足を止め、仮面を外す。ずっと一緒にいたのに見えなかった彼の素顔が、壁に取り付けられた燭台の、ろうそくを模した明かりに照らされる。