堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

 その美しさに見惚れていたら、彼が口を開いた。

「開会直前に会場に入った俺は、一段高い場所からホール全体を見渡した。正直、想像以上に参加者の人数が多くて、きみを見つけるのにも時間がかかりそうだと焦ったよ。……でも」

 一段高い場所って……もしかして、あの玉座みたいな椅子からだろうか。王子様のような志門さんなら、あそこに座っていても確かに違和感がないけれど、まさかね。きっと別の場所だろう。

 そんなことを考えていたら、志門さんが私の仮面に触れる。そしてもう一方の手で、後頭部で固定されていたリボンをほどくと、私の顔からそっと仮面を外した。

 お互いに邪魔だった仮面を取り去って、改めて素顔で見つめ合うと、胸がギュッと締めつけられた。私はこんなに彼に惹かれていたのだと、今さらのように思い知る。

「そんな心配、まったく必要なかった。あんなに大勢の人がいる中で、俺の目には瑠璃だけが輝いて見えたんだ。仮面をつけていても、すぐにきみだとわかった」
「志門さん……」
「こんなに一人の女性を心から欲しいと思ったのは初めてだ。……今夜は帰さないよ、瑠璃」

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