堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「会いたい……」
歩道の真ん中で立ち止まり、小さな二枚の紙を見つめてしゃくり上げた。すれ違う人々が、怪訝そうに私を見るけれど、止められなかった。涙が次々溢れては、頬を伝う。
泣いても泣いても切なさは収まることがなく、ちぎれそうに痛む胸が今さらのように、志門さんへの想いは本物だったのだと告げていた。
失恋の痛みは私から色々なものを奪った。大学生活やバイトへのやる気、家族と会話する気力、面白いものを見て笑うエネルギー……。
食欲や睡眠欲も減退し、日に日に体が弱っていくのが自分でもわかったけれど、どうにかしようと思う力もすでに残っていない。
母や兄にも心配されているけれど、『夏の疲れが今頃出たのかも』なんて言ってごまかし、毎日抜け殻のような状態で、大学やバイトに通った。
「瑠璃ちゃん、なんか痩せた?」
十月に入ってすぐのある平日。
閉店の十九時より二時間も速い十七時の時点で商品はすべて売り切れ、空いた時間を使ってハロウィンの飾りつけをしている時に、上尾さんに聞かれた。