堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「はい、ちょっとだけ」

 私は力なく苦笑して認めた。見た目に変化が出てしまうほど痩せてきているのは、自分でも鏡を見て気づいていたから。

「大丈夫? なんか顔色も悪いけど……あとは私と世良さんでやるし、今日は帰ったら?」
「いえ、最後までちゃんとやります。こういうシーズン物の飾りつけって好きなんですよね。このかぼちゃもかわいいですし」

 小さなジャック・オ・ランタンの置物を手にしてにっこり微笑むと、上尾さんも安心したように笑ってくれる。

「ハロウィンとかクリスマスって、お店は忙しくなるけど、モチベーションは上がるよね。世良さんの新作ケーキも楽しみだし」
「ですね」

 そんな会話をしながら、飾りつけの作業を続けていた時だった。

「お疲れ。今日はもう終わりでいいから、最後にケーキの味見をしていってくれないか?」

 世良さんがそう言いながら、厨房へ続くドアから顔を出す。私と上尾さんは顔を見合わせ、そろって目を輝かせた。

 休憩室に入ると、テーブルの上には三人分のケーキとティーカップ、ポットが用意されていた。思いがけないティータイムに、鬱々していた気持ちが少し浮上する。

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