堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「これ、ハロウィン用ですか?」
私が尋ねると、世良さんは頷いてケーキの説明をしてくれた。
「ああ。トプフェントルテにカボチャの裏ごしを合わせてみた」
トプフェントルテとは、ザッハートルテと同じくらいウィーンでは馴染みのあるチーズケーキのことだ。チーズとカボチャの相性はきっと抜群だろうなと想像すると、久々に食欲が湧いた。
「私、お茶淹れまーす」
上尾さんがポットを手に取り、それぞれのカップに紅茶を注いでくれる。
すると世良さんが、小皿の上に角砂糖とともに添えてあった、青紫のスミレの砂糖漬けをシュガートングで掴み、カップにひとつずつ落とした。
「これ、私が差し上げた……?」
「ああ。紅茶によく合うんだ」
へえ。楽しみ……。
そう思いながら席に着き、早速カップを手に取る。そして立ちのぼる湯気に鼻を近づけてかぐわしい花の香りを嗅いだ瞬間――私は突然吐き気を催して、口元を手で押さえながらガチャンとカップをソーサーに戻した。