堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

 自問自答しながら、段々と不安になってくる。けれど世良さんには否定しておきたくて、私は自嘲気味に説明する。

「彼氏もいないのに、そんなことあるはずありません。ちょっと、疲れているんだと思います」
「そうか。変なことを聞いてすまない。どちらにしろ、本調子になるまで無理して出勤しなくていいから」
「わかりました。……すみません」

 それからはふたりとも口を噤み、車内は静かになる。世良さんには否定したけど、私自身が、彼の投げかけた疑惑を拭えずにいた。

 体調が悪いせいだとばかり思っていたけれど、確かに生理は遅れている。

 それに、あの夜志門さんが避妊をしていた様子が、どうしても思い出せない。私の知らない間にしてくれていたと思いたいけれど、そんな確証はどこにもない。

 検査薬を買って確かめる……?〝妊娠してない〟って証明されれば、体の不調はともかく心の不安は取り除かれるだろうし。

 タクシーはやがて自宅に到着し、私がリュックから財布を出そうとしているうちに、世良さんがさっさと支払いを済ませていた。

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