堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「煩わしいお節介?」
「ああ。俺の結婚相手を探すために、ホーフブルクで仮面舞踏会を開催したんだ。舞踏会シーズンはまだ先なのに、祖母が大統領に頼み込んで個人的にホールを借りたらしい」
祖母は少々、いやかなりワガママな女性である。
あのハプスブルク家の血を引く数少ない子孫であり、祖父と結婚するまでお姫様のような生活を送っていたことを考えると仕方がない部分もあるのだろう。
しかし孫の結婚相手を探すのに、かつて王宮だった施設を借りて舞踏会を開こうと考える思考は、さすがに浮世離れしすぎている。
祖父は祖父で、祖母のそんな奔放なところに惚れ込んでいるので、常に彼女の味方であるのも困ったものだ。
「……それで見つかったの? めぼしい相手は」
友里恵に顔を覗かれ、俺は苦笑する。
「見つかったといえば見つかったけどね。……しかしその夜以来、その相手には会えていないんだ。振られたってことなんだろうけど、ひと月経っても俺は女々しく彼女のことを引きずっているよ」
なんとも情けない話なので、俺はそこで話をやめて立ち上がり、京極建設副社長の顔に戻って友里恵に頭を下げる。
「では。私はこれで失礼します。またなにかあればご連絡を」
「ええ、ではまた……。ねえ、ちょっと待って」