堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
彼女は挨拶の途中で急に俺を呼び止めた。そしてつかつか歩み寄ってくると、急にしおらしい態度で尋ねてくる。
「結婚相手……。私では、ダメ?」
媚びたような上目遣いをされるが、友里恵のことをそういう対象として考えたことは一度もなかったため、突然なにを言い出すのかと面食らった。
「どうしたんだいきなり。年齢や周囲からの心無いプレッシャーに焦らされているのなら、気にしない方がいい。結婚は、心から想う相手とするべきだ」
「だから、私にとってはそれが志門――」
「俺は、ウィーンで出会った彼女以外とは結婚なんて考えられない。そういう唯一無二の存在が、友里恵にもきっといるさ」
諭すように言い聞かせると、友里恵は口を噤んでうつむいた。
「じゃ、また」
彼女とは同い年だが、女性には妊娠・出産に対するタイムリミットもあるし、男よりはるかに複雑な思いがあるのだろう。結婚してくれという相談以外なら、友人として喜んで話を聞くんだがな……。
俺は友里恵の幸せを祈りつつ、待たせていた押尾を呼び出して、再び社用車に乗り込んだ。