堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「待ってる間にウィーン菓子が手に入る店を調べておきました。このElisaという店、ウィーンやハンガリーの本場のお菓子を販売していて、結構人気みたいです」
車を出す前に、押尾がそう言って俺にスマホを差し出す。受け取ってみると、確かに『中欧菓子専門店Elisa』という店の名と、小ぢんまりした店の外観の写真が載っている。
画面をスクロールすると、美味しそうな数々のケーキの写真が出てくる。その中には、ザッハートルテらしきチョコレートケーキもあった。
「ここへ寄ってくれ。目当てのケーキがありそうだ」
押尾にスマホを返しながら告げて、シートに深く腰を沈めた。このところ、瑠璃のことを考えてばかりであまりよく眠れていない。
しかし、久々にザッハートルテを食べられると思うと少し心が安らいで、俺は車に揺られながらしばらく目を閉じ、浅い眠りを貪った。
店に到着したのは十六時を少し過ぎた頃だった。押尾をそばの路上で待たせてひとり車を降りた俺は、ザッハートルテが売り切れてはいないかと心配しながら店の前に立つ。