堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

 病院に着いて瑠璃が様々な検査を受けている間、俺は待ちぼうけを食らっている押尾に連絡して状況を説明し、仕事の調整をしてもらった。

 幸いこの後は人と会う用事や重要な会議などもなかったため、押尾は冷静に対応した。

 しかし、偶然瑠璃と再会したという事実の方には少なからず衝撃を受けたようで、『僕があの店を見つけてなかったら会えなかったってことですか……!』と、電話口で興奮していた。

 確かにその通りだが、俺がその前にザッハートルテを食べたいと望んだこと自体が、運命の神の思し召しだったのでは?

 自分の手柄だと喜ぶ押尾に水を差すようで反論はしなかったが、俺の中ではそういうことにしておいた。

 検査が終わると、瑠璃は処置室で点滴の処置をされた。彼女は全身を打っていたものの幸い脳や骨に異常はなく、腕や足に軽い打撲を負っている程度だそうだ。

 しかしそれ以上に深刻なのが、彼女の栄養不足だと説明された。担当らしい初老の女性医師がにこにこと俺にアドバイスする。

「旦那さんもお忙しいとは思うけど、できるだけ奥さんをケアしてあげてくださいね。今の時期、精神的に不安定になりやすいから」


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