転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
「どうだ?」

「おいしい!!」

基本、貴族の食事は温かくない。スープですら、常温ででてくるときがある。だから余計においしく感じてしまった。

フロレンツィアとニコラも、同様の反応を見せている。

こんなにホットサンドがおいしいなんて、知らなかった。前世でもホットサンドメーカーを持っていたが、買っただけで満足して箱から出していなかった。もっと使っていればよかったと、後悔する。

「あとは、自分の分は自分で作って焼くように」

学生時代の調理実習を思い出してしまう。作った品々は、どれもおいしかったような記憶が残っていた。

ホットサンドは、食材の絶妙な配分がおいしさとなる。パンが分厚すぎても、薄すぎてもダメ。それは、ベーコンやチーズにも言えることだ。

各々好きな量の食材をパンに挟み、慎重な手つきで焼いていく。初めにやったからか、パンの耳が焦げてしまった。ローデンヴァルト先生が、ナイフで焦げた部分を削いでくれる。

「冷めないうちに食べろ」

お言葉に甘えて、温かいうちにいただく。パンの表面はカリカリ、中はしっとり。チーズはとろとろで、ベーコンはほどよい塩けがたまらない。おいしい一品に仕上がっていた。

皆でワイワイ言いながら食べる野外料理は、とても愉快であった。フロレンツィアとニコラも同様に、心から楽しんでいたようだった。
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