転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
「誰か――」

振り絞った声に反応したのは、ニコラの赤ちゃん竜のデコだった。

飛行邪竜と同じように息を吸ったあと、『ごりゅぎゃーん!』という声と共にブレスを吐き出した。

拳大の小さな白いブレスが、飛行邪竜の口の中へと飛んでいく。

威力は期待していなかったが、飛行邪竜の体が大きく震えた。

『ギュオオオオオオオオオオン!!』

それは、飛行邪竜の断末魔だった。体を痙攣させながら、地面に伏す。

「ちょっ……」

「デコーーーー!」

ニコラはデコに駆け寄り、ぎゅっと体を抱きしめる。闇の竜に対して、光の竜であるデコのブレスは効果抜群だったようだ。

「おい、これは、どうしたんだ!?」

上空より、ローデンヴァルト先生の声が聞こえてきた。ヒポグリフォンに跨がった姿で、大穴が空いた教室と、地面に伏した飛行邪竜を信じがたいという目で見つめている。

ローデンヴァルト先生が教室に降り立った瞬間、私とニコラは駆け寄る。

怖かったと口にすると、ローデンヴァルト先生は私とニコラを抱きしめてくれた。「もう大丈夫だ」と、耳元で囁く声を聞いたら、緊張の糸がぷつりと切れてしまった。膝から力が抜け、その場に頽れる。ニコラも同様に。

なんとも情けない、魔物との初陣であった。
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