転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
そんなわけで、フロレンツィアの腹痛を治す薬は存在しない。だが、私も軽い回復魔法であれば使える。

「ちょっと、ごめんなさい」

「え? な、何を――」

「回復魔法を、かけてあげるから」

フロレンツィアが押さえていた手を払い、腹部に手を添える。そして、回復魔法の呪文を唱えた。

「──|祝福よ(ベネデッタ)、不調の因果を癒やしませ」

手の甲に魔法陣が浮かび上がり、フロレンツィアの体内に浸透していく。

耳元で、安堵するようなため息が聞こえた。どうやら、回復魔法は効果があったようだ。

「大丈夫?」

「ええ、なんとか」

手を差し出すと、フロレンツィアはそっと指先を重ねる。ぐっと力を入れて、立ち上がらせた。

「その、ありがとう」

「え?」

「ありがとうって、言っていますでしょう!」

「ああ、うん。どういたしまして」
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