【電子書籍化&コミカライズ】悪役令嬢はラスボスの密偵として学食で働くことになりました
「カルミアさん。どうか学園に残っては下さいませんか。私は貴女を手放したくないのです!」
熱烈な告白だった。しかしカルミアはもう間違えるものかと冷静に対処する。同じ過ちは繰り返さないと誓ったのだ。
「今度はどこに潜入させたいんですか?」
カルミアの答えにリシャールは自らの過ちに気づいたようだ。
「ああっ、私はまた! 違う、違うんです!」
くしゃりとリシャールが髪をかき上げる。
「いけませんね。カルミアさんを前にするとどうも余裕がなくなってしまう。学園に残ってほしいと言うのは口実で、ただそばにいてほしいのです」
余裕がないと言うように、確かにリシャールの態度には落ち着きがないように感じる。必死に言葉を探しているように見えた。
しかしカルミアは慎重に対処する。
リシャールの言葉は都合よく受け止めれば勘違いしそうなものばかりだ。けれどそんなことが起こるはずないと、カルミアは必死に自分を抑え込む。
(でも……)
もう一人の自分はその間違いが本当であればいいと期待している。リシャールに必要とされることを、心のどこかでは望んでいた。
「カルミアさん!」
声を荒げたリシャールに、カルミアの肩が揺れる。そんなカルミアの様子を目にしたリシャールはすぐさま己の行いを反省していた。
そして今度は間違えないように。丁寧に、慎重に言葉を選んでいく。
「カルミアさんは私の密偵であり、学園を救って下さった英雄です。しかしこれはそのどれとも違う、仕事の話ではありません。私の、個人的な願いです。叶うことならどうか私のそばに、妻として隣にいて下さいませんか」
まるで物語のような告白シーンだ。ゲームでも主人公が告白されるたび、カルミアは胸を高鳴らせて二人を見守っていた。
しかしカルミアは物語の主人公たちのように照れるのではなく、盛大に混乱している。
「きゅ、急にどうしちゃったんですかリシャールさん!?」
こうもはっきり言われては、さすがに間違えようがないと思う。しかしどうして、何故と、その理由ばかりが頭を占め、ときめきとは別の焦りばかりが生まれていた。
熱烈な告白だった。しかしカルミアはもう間違えるものかと冷静に対処する。同じ過ちは繰り返さないと誓ったのだ。
「今度はどこに潜入させたいんですか?」
カルミアの答えにリシャールは自らの過ちに気づいたようだ。
「ああっ、私はまた! 違う、違うんです!」
くしゃりとリシャールが髪をかき上げる。
「いけませんね。カルミアさんを前にするとどうも余裕がなくなってしまう。学園に残ってほしいと言うのは口実で、ただそばにいてほしいのです」
余裕がないと言うように、確かにリシャールの態度には落ち着きがないように感じる。必死に言葉を探しているように見えた。
しかしカルミアは慎重に対処する。
リシャールの言葉は都合よく受け止めれば勘違いしそうなものばかりだ。けれどそんなことが起こるはずないと、カルミアは必死に自分を抑え込む。
(でも……)
もう一人の自分はその間違いが本当であればいいと期待している。リシャールに必要とされることを、心のどこかでは望んでいた。
「カルミアさん!」
声を荒げたリシャールに、カルミアの肩が揺れる。そんなカルミアの様子を目にしたリシャールはすぐさま己の行いを反省していた。
そして今度は間違えないように。丁寧に、慎重に言葉を選んでいく。
「カルミアさんは私の密偵であり、学園を救って下さった英雄です。しかしこれはそのどれとも違う、仕事の話ではありません。私の、個人的な願いです。叶うことならどうか私のそばに、妻として隣にいて下さいませんか」
まるで物語のような告白シーンだ。ゲームでも主人公が告白されるたび、カルミアは胸を高鳴らせて二人を見守っていた。
しかしカルミアは物語の主人公たちのように照れるのではなく、盛大に混乱している。
「きゅ、急にどうしちゃったんですかリシャールさん!?」
こうもはっきり言われては、さすがに間違えようがないと思う。しかしどうして、何故と、その理由ばかりが頭を占め、ときめきとは別の焦りばかりが生まれていた。