猫になんてなれないけれど
それから、飲み物とともに料理が順に運ばれてきて、食事をしながら、仕事の話や萌花の話、青龍さんの話をした。

青龍さんの幹斗議員に対する計画は、水面下で着々と進行中だそうだけど、詳細はまだ、冨士原さんにも明かせないとのことだった。

ただ、「結果を楽しみにしていてください」と、にこやかに話していたらしい。


(・・・にこやかに・・・)


普段、穏やかで頭のいい人が、本気で怒りを感じたら。しかも、お金も沢山あるわけで・・・。

どうなるのかと想像すると怖いけど、澄美華さんや子どもたちのことも考慮しているだろうから、凄惨な事態にはならないと思う。

・・・多分・・・。

「・・・青龍はそんな感じですが。ひとまず、萌花さんが元気そうで安心しました」

「はい。本当に、どうもありがとうございました。椿ちゃんも元気です」

ついでに、萌花と門脇さんがいい感じだという話をした。

あれから、「はなの季」に行く時間がなくて、萌花とはメールアプリで会話をしているだけだけど、関係性がいい方向に進んでいるのは確かなことだと感じてる。

萌花はまだ、自分の気持ちを認めたくはなさそうだけど。

「それは、うまくいくといいですね」

「はい。門脇さんなら浮気も絶対しないだろうし、椿ちゃんとも結構仲がいいんです。あとは、萌花が素直になるかどうかですね・・・」

だけど、それも時間の問題かもしれない。

メールアプリでも、門脇さんの話ばかりをしているし、どう考えても気になっているか・・・好きなんだろうと思うから。

「失礼します、お待たせしましたー」

ちょうどその時、店員さんがやってきて、彩りよく綺麗に盛られたお刺身が、テーブルの真ん中に運ばれた。

「美味しそう」と私が言うと、冨士原さんも笑顔になって頷いた。

早速、小皿に醤油とわさびを準備して、どれから食べようかと吟味する。

私はまずはマグロから・・・と、わさび醤油をつけて、切り身を口に頬張った。
< 112 / 169 >

この作品をシェア

pagetop