猫になんてなれないけれど
「・・・じゃあ、お邪魔してもいいですか」

「もちろん。断られたら、無理にでも連れて帰ろうと思ったし」

冨士原さんが微笑んで、また、私の髪を優しく撫でた。



サイドブレーキを解除して、彼がシフトレバーを動かした。

ゆっくりと車が動き、アスファルトをタイヤが滑る音がする。

駐車場から、夜の街へと車が進む。

静かな景色。

フロントガラスからふっと見上げた夜空には、私たちを見守るように、満月が、美しく優しい光を放っていた。







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