猫になんてなれないけれど
「・・・そのままでもかわいいのに」

「!?」

至近距離の、甘い目線に捕らわれる。

途端に動揺してしまい、目線を外して彼に言う。

「そ、そんなことは、冨士原さんしか言ってくれませんから」

「・・・そうかな。そんなことはないと思うけど・・・・・・それなら今は、オレだけでいいって思ってくれる?」

「えっ・・・?、っ、・・・っ!」

彼の言葉になんて返事をすればいいのか、そもそもわからなかったけど。

キスで塞がれた唇は、それ以上、もちろん何も言えなくて。

一瞬で思考を止めた私の耳に、彼はすかさずキスをする。

「・・・じゃあ、5分だけ」

耳元に触れる甘い感触。

彼の息と、低音が耳に響いて、ゾクリと身体が震えてしまった。

思わず頷いた私の耳に、彼は再びキスをする。

契約成立・・・。

上手に誘導された気がして、悔しい感じもするけれど。

今は、不思議なくらいにそれでもいいって思ってる。

だって私はこんなにも、また、彼に触れたくなったから。

・・・だからあと、5分だけ。

思い切り、甘い時間を過ごしてしまおう。

そんな決意を伝えるように、私は、彼の背中に腕を回した。





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