猫になんてなれないけれど
「それで、式はいつなの?というか、挙げるのか?食事会とかパーティだけとか、そういう感じもあるよなあ」

わくわくと、予定を尋ねる相澤先生。

ちょっと照れくさいなと思いつつ、私はそれに返事する。

「それはまだ、具体的には。明日、冨士原さんがうちの実家に挨拶に来てくれるので・・・それからまた、ゆっくり考えようかと思っています」

答えると、先生は「えっ」と驚いた顔をして、冨士原さんに視線を向けた。

「真木野の親に、まだ挨拶済んでいないのか」

「・・・ああ。一応、間接的に了承はもらってるけど。直接の挨拶は済んでない」

冨士原さんの返答に、先生は「えー」と言って心配そうな顔をする。

「だ、大丈夫か。友人として、早めに報告してくれるのは嬉しいけど・・・。真木野が職場に報告するタイミングとしては、若干気が早いというか・・・。かなりのスピード婚になるわけだから、やっぱり反対されたとか、後から言い出すなよなー」

苦笑いをする相澤先生。

冨士原さんはキリッと眼鏡を持ち上げて、鋭い視線で言い返す。

「大丈夫だ。ちゃんと認めてもらうから」

「おっ、なんだ。自信ありだな」

「・・・気合いだよ。自信があるって訳じゃないけど、弱気になる訳にもいかない」

気持ちを落ち着かせるように、冨士原さんは、はあ、と大きく息を吐く。

そして、真面目な顔で話を続けた。

「明日ちゃんと了承をもらえたら、真木野さんには、数日中にうちに引っ越してもらう予定でいるから。慌ただしくなって、色々と事後報告になるのも嫌だと思って。ここには、早めに報告させてもらったんだ」

気が早いかな、と、私たちも考えなかったわけじゃない。

けれど2人で相談をして、先生はもちろん、クリニックのスタッフには早めに言おうと決めたのだ。
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