猫になんてなれないけれど
それは、受付の2人が冨士原さんのファンであることや、私の住所変更だとか、事務的な理由もあるけれど。

先生が、私たちにとってとても大事な存在であり、そしてここは、私と彼が初めて出会った特別な場所でもあるからだ。

「・・・そっか。うん、なるほど」

「大和らしいな」と、先生が笑顔で呟いた。

冨士原さんは、「なにがだ」と言って、不機嫌そうな視線を返す。

「いや・・・、真木野と大和、2人らしいというのかな。真面目で律儀?・・・んー、うまく言えないけどさ。大丈夫だな、なんか。なんにも心配いらないか」

「・・・ああ」

冨士原さんが頷くと、先生は、さらに大きな笑顔になった。

そして、冨士原さんの肩を励ますようにポン!とたたくと、嬉しそうな声で言う。

「まあ、とにかくおめでとう!」

「・・・ありがとう」

「ありがとうございます」

私と彼を交互に見ると、うんうん、と頷いて、先生は満足そうな顔をした。

なんだか急に、目頭が熱くなってくる。

先生に言われた「おめでとう」が、想像以上に嬉しかったのかもしれない。


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