猫になんてなれないけれど
「いいよ。いいって言ってたし。逆に悪いな、ああいう親で」

「い、いえ、それは、お忙しい中こちらこそではあるんですが・・・、もしかしたら、会いたくないほど嫌われたんじゃないかとか、若干不安になってきて」

オンラインで話をした感じでは、2人とも、賢くてさっぱりとした印象だった。

多忙なのはわかっているし、お世辞とか、投げやりなことを言う雰囲気ではなかったけれど・・・。

結婚前に、「顔合わせ」というイベントを必須のように感じていた分、やっぱり不安は拭えない。

神妙な顔の私を見ると、冨士原さんは吹き出した。

「大丈夫。充分気に入ってるよ。反応でわかる」

「そ、そうなんでしょうか・・・」

「うん。それに、弟の結婚の時も似たような感じだったかな。結婚してから、時間ができた時に会ったりはしたみたいだけど」


(・・・そうなんだ・・・)


どうやら、「結婚」の順序や常識は、人それぞれであるらしい。

私が抱いていた感覚は、固定観念かもしれない。

「そういえば・・・弟さん、いくつでしたっけ」

「32。奥さんも同い年だったかな。・・・ああ、弟家族は、言えば時間取れると思うから。近いうちに会わせるよ」

「あ、はい。お願いします」

会うとなるとやっぱり緊張するけれど、ご両親に会えない分、弟さん家族にはぜひとも会ってみたいと思う。

気になって、「弟さんと似てますか?」と尋ねると、冨士原さんは「うん」と笑った。

「割と似てる。顔も性格も。弟の方が柔軟だけど・・・やっぱり、あいつも基本的には頭が固い」

「そうなんですね」

私も笑った。

きっと、「少し若い冨士原さん」という雰囲気なのかな。頭の中で、弟さんの顔にも勝手に眼鏡をかけてしまう。
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