猫になんてなれないけれど
「はなの季」からの帰り道。

冨士原さんは以前と同じく、私を家まで送ると言ってくれた。

前回は、警察の車で後部座席に座ったけれど、今日は、富士原さんの車なので私は助手席の位置にいる。

猫カフェに連れて行ってもらって以来、この場所に座るのは二回目だ。

相変わらず、シンプルで綺麗な車内。

薄暗い空間の中、青いデジタル時計の表示が光る。今はもう、22時を過ぎていた。

「いつも送っていただいてありがとうございます・・・。冨士原さん、明日は仕事お休みですか」

尋ねると、富士原さんは「いえ」と答える。

「一応仕事の予定です。真木野さんもそうですよね。月曜から土曜まで、フルで入ってもらってるって相澤から聞いてます」

「ああ・・・でも、木曜日はお休みです。土曜も隔週交代なので、夜勤があった時に比べると、全然楽なんですよ」

「そうですか。しかし、緊張感のある職場でしょうから大変ですね」

「いえ、それを言ったら富士原さんも同じかと・・・。今日も、お仕事帰りにすみません。本当に、どうもありがとうございました」

私を送って、それから自宅に帰るとすると、富士原さんの帰宅時間は軽く23時を過ぎると思う。

以前、住んでいる場所を尋ねたら、私の家から車で2~30分程の場所だった。

「仕事なら、明日の朝は早いですよね。寝る時間、ちゃんとありますか」

私の問いに、冨士原さんは少し笑った。

「大丈夫ですよ。普通にあります」

「・・・そうですか。それならいいんですけど・・・」
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