猫になんてなれないけれど
明日、身体が辛くないといいけれど。

そんなことを思っていると、冨士原さんが言葉を足した。

「身体は丈夫なのでお気遣いなく。それに、萌花さんの件は難なく解決できそうなので、なにも心配ないですよ」

「そうだ・・・そう言っていただけましたね。萌花も言ってましたけど、本当に、そんな方がいるなんてちょっとびっくりなんですが」

「そうですね。本当、彼にしかできないことだと思います。よかったです、彼と私が知り合いで」

そう呟いた横顔が、なんだかとても優しくて。そして、頼もしいようにも見えて、「大丈夫だ」って自然と安心感が湧く。

「その、『彼』の正体が気になるとは思うんですが。解決するまでは、秘密にさせてください」

「あ・・・はい。気になりますけど、秘密にする理由があるんですもんね。とりあえず、冨士原さんが信頼している方ってことで、今は十分だし、安心してます」

「・・・・・・そっか」

冨士原さんが呟いた。

そして、「じゃあ、頑張らないといけないな」って、窓の外を見ながら言った。

それは、ひとり言のようだったけど、そうじゃない感じも受けて。

尋ねるように運転席を見つめると、私の視線に気づいたのか、冨士原さんは、穏やかな顔で私に一瞬目を向けた。

「・・・まあ、とにかくご心配なく。すぐに解決できると思うので」

その顔が、とても優しかったから。私の頬は、途端に熱くなっていく。

気持ちを落ち着かせたくて、小さく深呼吸をしてうつむいた。
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