猫になんてなれないけれど
「三波くらら以前の4回は、義兄さんに泣きつかれ、悩みましたが・・・僕が全て、円満な和解に持ち込みました。姉にも両親にも報告せずに、もちろんマスコミに嗅ぎつけられることもなく・・・ですね。和解金で、女性たちに関係を切っていただいたんです。

それが、やっと終わったところで今度は不倫報道です。僕ももう、さすがに呆れ果てたというか・・・疲れましたね」

身内のことだし、弁護士という立場もあるから、青龍さんは、それを冨士原さんに話した事はもちろんなかったそうだけど。

数週間前、二人で居酒屋に行った際、ちょうど幹斗議員と三波くららの不倫報道がテレビでやっていたそうで、それを見た青龍さんが、怒り顔で「何回目だ」とこぼしたのを冨士原さんは聞いていた。

「それまで、幹斗議員の不倫報道を耳にしたことはなかったので。青龍の言葉は多少引っかかったのですが」

親族間の問題なのだし、冨士原さんは深掘りせずにスルーした。

しかし、萌花の話を聞いた時、青龍さんの「何回目だ」という呟きの、その言葉の意味を自然と理解したようだった。

「幹斗議員は、かなり女癖が悪いようだなと。しかもどうやら、賢いタイプの人間じゃない。レベルの低い嫌がらせをする可能性も、十分にあると考えました」

そして、その嫌がらせにあい、金銭絡みの契約を迫られている萌花の問題解決ができるのは、青龍さんしかいないだろうと冨士原さんは考えた。

逆に言えば、青龍さんなら容易に解決できると思った。

弁護士としての知識もあり、幹斗議員の親族でもある青龍さんなら、萌花の望む条件で・・・そして、最善の方法で解決できると思ったそうだ。

「居酒屋での様子から、青龍の幹斗議員に対する嫌悪感もわかっていたので。協力を得られる確信もありましたしね」
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