白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

 ☆桃華side☆

 次の朝。
 
 いつものようにバスに1時間半揺られ
 学校近くのバス停に到着。


 朝練で虎兄のパンチがめり込んだお腹を
 押さえながら
 バスを降りようとしたとき
 大好きな顔が目の前に現れた。


「桃ちゃん、一緒に学校に行こう」


 十環先輩
 バス停の前で待っていてくれたんだ。

 
 おなかの痛みなんて
 吹っ飛んじゃうくらい嬉しいのに
 素直になんてなれない
 かわいくない私が顔を出す。


「こんな寒い中
 私を待っていなくてもいいですよ」


 なんでかわいく
 『ありがとう』が言えないんだろう。

 六花にだったら言えるのに。
 ムササビみたいに
 抱き着きながら言えるのに。


「だって桃ちゃんと一緒にいられるのって
 お昼の時だけでしょ。
 授業が終わったら
 超特急で帰って行っちゃうし」


「学校が終わったら
 お店の手伝いをしなきゃいけないので。
 それに
 バスに乗り遅れると次は2時間後ですよ。
 学校の近くに引っ越したいくらい」


「百目家のみんなで引っ越して来たら?
 学校周辺の有名家族に
 なっちゃいそうだけど」


 う……
 それは困る……

 私の家が呉服屋で
 ヤンキー、忍者、コスプレマニア、
 ロリータのたまり場だって
 学校のみんなにバレたら。

 どんな顔をして
 学校に行っていいかわからない。


「十環先輩
 学校のみんなには黙っていてださいね」


「何を?」


「だから、私の家族のこととか
 お店のこととか」


「桃ちゃんが
 中学の時にバリバリのヤンキーで
 番長さんをしていたこととか?」


 ギロリ!


 明らかに面白がっている十環先輩に
 カラスが獲物を狙うくらい
 どす黒い瞳で睨んでみる。


 そんな私を見て
 十環先輩は声を上げて笑い出した。
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