白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
そして腕をつかまれたまま
ある場所まで連れてこられた。
連れてこられた場所は
屋上に続く階段。
屋上は立ち入り禁止で
鍵が閉まっているから
周りには誰もいない。
一言も言葉を発しない十環先輩が
階段の途中で
やっと私の腕を離してくれた。
「十環……先輩?」
私に背中を向けたままで、
どんな表情をしているかさえ
分からない。
「怒っていますよね?
朝、十環先輩を置いて
先に行っちゃったし。
さっきだって
先輩のクラスにまで押しかけて……」
やっぱり怒っているんだ。
十環先輩。
私の言葉を無視して
私の方に振り向こうともしてくれない。
きっと十環先輩は
私に伝えたいんだろうな。
『迷惑だから、仮の彼女をやめて』って。
でも、言い出せないんだろうな。
十環先輩、優しいから。
それなら私が
きちんと終わらせなきゃ!!
私はゆっくり息を吐ききると
唇をぎゅっとかみしめ口を開いた。
「私には無理でした。
十環先輩の仮の彼女なんて。
だから……」
声が震えて、言葉が続かない。
だって
最後まで言っちゃったら
私もう、十環先輩の隣には
いられなくなっちゃうから。
目をつぶって、深く深呼吸をした。
今にも溢れそうな涙が
瞼にたまっていく。
勇気を振り絞って
言葉を発しようとしたとき
思いっきりぎゅーっと
十環先輩に抱きしめられた。
え?
これって……?
どういうこと?