王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
「それにイートン伯爵が従うと思っているのか?」
「娘が次期王妃になるのです。喜ばない親などいないでしょう」
侯爵には、あまりに単純に考えるコンラッドが末恐ろしくも感じられた。
イートン伯爵は清廉な人物として前の代から有名だ。権力に膝を屈するようなタイプではない。
「……勝算はあるのか。お前……クロエ殿とそういった親交があるのか?」
「グラマースクールのときの後輩です。一緒に茶を飲んだり、多少なり交流はあります」
では、全く脈なしというわけでもないのか。
アンスバッハ侯爵は、腕を組んで考えを巡らせた。
クロエ嬢とアイザック王子は、婚約の話もあったような気がする。実際に婚約はしていないようだが、時折パーティの相手役として、ふたりで夜会に出席しているのは見たことがある。
(むしろ、アイザック王子を救うためといえば抑え込むことはできるのかもしれないな。問題は彼女が御しやすいタイプかどうかだ。うまくクロエ嬢を操れれば、コンラッドを動かすのはよりたやすくなるだろう)
「……一度、クロエ嬢に会わせてもらえないか?」
「伯父上、彼女を俺の妻に迎えてくれますか?」
「会ってみないとわからん。とにかく一度話してみたい」
「分かりました。母上のお力をお借りしてもよろしいでしょうか」
「ああ。マデリンならうまくやるだろう。頼んだぞ」
バタバタと騒がしくコンラッドが帰って行く。
アンスバッハ侯爵は深いため息をついた。