王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
ロザリーは不思議だった。
国のことを思う人間が集うべきところが王城であり議会だ。なのに今は反対のことが起きている。
己の利ばかりを願う人が集まり政治を回すこの国は、正しく国としてあれるのだろうか。

「あら、あなたがアイザックのことを気にするとは思いませんでたわ」

カイラの声に、ロザリーは我に返る。冷たい言葉で迎えられたナサニエルは苦笑していた。
ザックの一件以降、彼らの喧嘩は続いているのだ。
といっても、カイラはもともと主張の強い女性ではない。怒っていてもナサニエルの訪問を断ることはないが、言葉の端々にあの決定に対しての棘がある。

「そう言うな。息子がかわいくないわけないだろう」

「それはそうですわね。あなたの息子はあの子だけではありませんもの」

カイラにしては尖った言い方に、さすがのナサニエルも苦笑する。

「お前に責められるのは堪える。絶対に悪いようにはしないから、いい加減機嫌を直してくれ、カイラ」

「……知りません」

ツンとそっぽを向いたが、カイラの意地が長く続かないことは、長年連れ添っているライザはもちろん、ロザリーにもたやすく分かった。

「私達はしばらく隣室に控えております」

ライザは小さくそう言うと、ロザリーを引っ張って部屋を出た。

「……仲直りなさいますかね」

「そろそろ焦れた陛下が強引にでも仲直りなさいますでしょう」

「ですね」

ロザリーとライザは微笑みあい、自分たちもお茶をいただこうと、テーブルについた。
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