王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました


イートン伯爵は、まず夫人のケイティにクリスを託した。

「お前の理想のお嬢さんになるよう、この子に礼儀作法やなんかを教えてくれ」

「それは構いませんけど、レイモンドさんから怒られません?」

ロザリーの社交会デビューを終え、またもや生きがいを見失っていたケイティはきらりと目を輝かせる。
だが、ケイティも事情は聞いているので、これから平民の娘として生きていくクリスに余計な知識をつけるのがいいことなのか分からない。

「もし彼やオードリー殿になにかあれば、この子は子爵家に戻されるだろう。そうなったときに貴族のふるまいができるかどうかは重要だ」

避けたい最悪のケースではあるが、可能性としてないわけではない。
血のつながりを考えれば、オードリーがいなければ、次に彼女の養育権を主張できるのはオルコット子爵夫妻だ。

「そういうことでしたら、私にお任せくださいませ」

ケイティは夫の説明に納得し、喜んでクリスを引き受けた。

そして、イートン伯爵はザックの行方を探すため、捜索隊を整備した。

「近隣住民に、賊が通常どのあたりに出没するものなのか、ちゃんと確認するんだ」

言いながら手紙を二通、素早くしたためる。一通は現状を伝えるケネス宛てのもの。
もう一通はカイラ宛で、ロザリーを送っていったときに、この件について御目通りを願うという内容だ。

先に早馬で伝令を頼み、ロザリーを乗せて馬車を駆った。
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