恋を知らない花~初恋~
「いえ、俺、あっいえ、ぼ、僕はもう。もともとお酒も強い方ではありませんし、帰ると伝えてきましたので。川井さん、お送りしますよ。立てますか?」

本当は真中さん僕じゃなくて俺って言うんだ。
キャラ的には僕がしっくりくるのに。

「フフッ、真中さん俺っていうんですねぇ。いいんですよ、俺って言ってください。ではまた、私はどこかに泊まって行きますのでお気になさらずに。」

ふらつきながらも立ち上がって頭を下げたが、自分ではどうにもできずふらっと真中さんの方へ倒れこんでしまった。

咄嗟に抱きとめられ、すぐに体を離された。

「あっ、すいません。咄嗟のことで…あの、こんな状態では一人で帰すわけにはいきませんのでせめてタクシーまででも。」

「私思ったより酔っているみたいだし、タクシー乗っちゃうと確実に吐く自信があります。」

私がそういうと真中さんはその場で困った顔をして考え込む。

「とりあえず吐いてもいいように袋をそこのコンビニで買ってきますね。それなら吐いても大丈夫ですし。」

「真中さん優しいですね。ありがとうございます。」

そういうとコンビニへ歩き出すから私も真中さんの腕につかまり付いて行った。

「あっ、えっ、川井さん座って待っていてください。本当にすぐ戻りますので。」

立ち止まり私にそういうので私は真中さんの手をしっかりと握った。

「一緒に行きます。さみしいので。」
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