恋を知らない花~初恋~
少し困ったような顔をしたけどしっかりと私の手を握り直しコンビニへ歩き出した。

「危なっかしいのでしっかり掴まっててくださいね。」

「フフッ、ありがとうございます。」

思った通り、本当に真中さんは優しい。
私のような人間が触れていい人ではない。

手をつないでコンビニへ行きビニール袋と水を買ってもらった。
コンビニの前が割と車通りの多い通りですぐにタクシーは来たと思う。

「川井さん、ビニールを手に持っていて下さいね。運転手さん、もしかすると吐いてしまうかもしれませんがビニール袋持たせてますので。出来るだけ安全運転でお願いします。」

そんなことを言っている真中さんの声がうっすら聞こえてたと思うけど私の記憶はそこまでしかなかった…。



目が覚めると知らない部屋のベッドの上だった。
カーテンの隙間から光が差し込んできており朝か、昼かだろうとはわかる。

重たい体を起こすと頭痛とひどい胸焼けで最悪だった…
気づいたら大きめのTシャツとショーツのみで他は何も身に付けていなかった。

頑張って昨日の出来事を思い出すもタクシーに乗った後の記憶が全くない…

いったいここは誰の家何だろう?
見渡してみるも誰かいる気配はなかった。
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