ボードウォークの恋人たち
「治臣さんを大切にさせて頂きます」
返事が欲しかったわけじゃない私は今度こそ立ち上がり一礼して店を出た。
今までに受けたハルの心の傷を考えるとハルのお母さんには腹が立つしいろいろ言ってやりたかったけど、それは私の仕事ではない。
この人が自分で気づいて反省しなきゃいけないことだ。
彼に対する謝罪を無理強いしても解決にはならないこともわかっている。
その後、帰宅したハルにお母さんに挨拶に行ったと告げると呆れられたけど文句は言われなかった。
いつものように頬をぷにぷにされてお終い。
ハルとお母さんの関係改善にはまだ時間が必要らしい。
この先彼の妻となる私としては少しでも彼の心の棘を抜き痛みを癒してあげたいところではある。寄り添うことくらいしかできないけれど、この先は思い切り愛を伝えて行こう。
「ハル、大好きよ」
ぎゅっと抱き付いてぐりぐりと鼻先を彼の胸にこすりつけると頭の上でハルが苦笑している気配がする。
「素直になった水音の破壊力が凄すぎるな」
私の背中に回された腕に力が入り抱きしめ返してくれる。じんわりとハルの体温が伝わってきて心地いい。
私はもう決してハルから離れることはない。
ハルは外では仕事が出来る大人なイケメンドクターだけど、私のことが好きすぎるこのオトコの寂しがりな本性を知ってしまった今では私も離れられる気がしない。
ーーーその後ハルは諸川さんに会いに行き結婚式の招待状を渡したと聞いた。
そして、この結婚式の今日、木の陰に隠れるようにしてではあるけれど、お母さんは参列してくれたというわけだから、もしかしてこの先関係は改善されることがあるかもしれない。
気長に待つとしよう。
あのハルにべったりだった義妹は今はカナダの医療研究センターにいると諸川さんに聞いた。
やはり彼女はハルのことが好きで結婚したいと思っていた。
今までいろいろ邪魔をしてきたことを直接謝罪したかったらしいのだけど、ハルは会うことはもちろん連絡すら拒否していたから父親の諸川さんに手紙を預けそのままカナダに旅立ったらしい。
私としてはこのまま彼女がハルを諦めてくれることを祈るしかない。
「水音」
甘さを含む彼の呼びかけに顔を上げると、案の定とろりとした笑みを湛えたハルの笑顔があった。
この場にいる女性たちの小さな悲鳴に似た声とざわめきが私の耳に入り、私は顔をしかめた。
「ハル、今からその笑顔禁止よ」
わけがわからないという顔をしたハルに
「これ以上いい顔して他の女性を虜にしないで頂戴。昔からハルの周りにいる女の人は私の敵ばっかりなのよ」
ついでにちょっとその腕もつねってやった。
返事が欲しかったわけじゃない私は今度こそ立ち上がり一礼して店を出た。
今までに受けたハルの心の傷を考えるとハルのお母さんには腹が立つしいろいろ言ってやりたかったけど、それは私の仕事ではない。
この人が自分で気づいて反省しなきゃいけないことだ。
彼に対する謝罪を無理強いしても解決にはならないこともわかっている。
その後、帰宅したハルにお母さんに挨拶に行ったと告げると呆れられたけど文句は言われなかった。
いつものように頬をぷにぷにされてお終い。
ハルとお母さんの関係改善にはまだ時間が必要らしい。
この先彼の妻となる私としては少しでも彼の心の棘を抜き痛みを癒してあげたいところではある。寄り添うことくらいしかできないけれど、この先は思い切り愛を伝えて行こう。
「ハル、大好きよ」
ぎゅっと抱き付いてぐりぐりと鼻先を彼の胸にこすりつけると頭の上でハルが苦笑している気配がする。
「素直になった水音の破壊力が凄すぎるな」
私の背中に回された腕に力が入り抱きしめ返してくれる。じんわりとハルの体温が伝わってきて心地いい。
私はもう決してハルから離れることはない。
ハルは外では仕事が出来る大人なイケメンドクターだけど、私のことが好きすぎるこのオトコの寂しがりな本性を知ってしまった今では私も離れられる気がしない。
ーーーその後ハルは諸川さんに会いに行き結婚式の招待状を渡したと聞いた。
そして、この結婚式の今日、木の陰に隠れるようにしてではあるけれど、お母さんは参列してくれたというわけだから、もしかしてこの先関係は改善されることがあるかもしれない。
気長に待つとしよう。
あのハルにべったりだった義妹は今はカナダの医療研究センターにいると諸川さんに聞いた。
やはり彼女はハルのことが好きで結婚したいと思っていた。
今までいろいろ邪魔をしてきたことを直接謝罪したかったらしいのだけど、ハルは会うことはもちろん連絡すら拒否していたから父親の諸川さんに手紙を預けそのままカナダに旅立ったらしい。
私としてはこのまま彼女がハルを諦めてくれることを祈るしかない。
「水音」
甘さを含む彼の呼びかけに顔を上げると、案の定とろりとした笑みを湛えたハルの笑顔があった。
この場にいる女性たちの小さな悲鳴に似た声とざわめきが私の耳に入り、私は顔をしかめた。
「ハル、今からその笑顔禁止よ」
わけがわからないという顔をしたハルに
「これ以上いい顔して他の女性を虜にしないで頂戴。昔からハルの周りにいる女の人は私の敵ばっかりなのよ」
ついでにちょっとその腕もつねってやった。