ボードウォークの恋人たち
結局、先に兄との会話が面倒になったのは私で。ハルと暮らすのは私に引っ越し費用諸々のお金が貯まるまでの間ということでお互いに頷いた。

「ハルが出てけって言うのと私の貯金が貯まるのとどっちが先になるかわからないけど、しばらくあそこに置いてもらうことにする」

私の言葉に兄は満足そうだ。
自分のところに転がりこまれると困るからハルに押し付けているくせに。

「お父さんたちはいつ帰ってくるの?取引先とのお見合いぶち壊したんだからちゃんと話をした方がいいよね」

「そっちはもう片付いてるから、問題ない」

本当に問題ないの?

「見合い当日に大江さんから連絡をもらって穏便に話はついてるから心配ない。そもそもあちらの社長も本気でこの話を纏めようとしてたのかも怪しいと俺は思ってるくらいだ」

「どういうこと?」

「水音とうまくいけばよし、うまくいかず遠距離の彼女とくっついてくれればってとこだろ」

「遠距離の彼女って、何でお兄ちゃんがそんなことまで知ってるの?」

「ちょっと小耳に挟んだ」

はあ?そんなことある?
冷静になって考えると、おかしなことばかりだ。

急に帰ってきたハル。
いきなり引越しを強行した母。
強引に大江さんとのお見合いをねじ込んできた父の考えもわからない。
結婚する必要はない、断っていいからとにかく彼と見合いをしろと言われ仕方なく行ったお見合いだった。

ハルとのごたごたがあってアパートに逃げ帰る途中に父からメールが来たのだけれど『あちらから断りの連絡があった。見合いが失敗しても大江医療との取引に問題はない。心配無用』と書いてあった。
結婚しなくていいし断ってもいいのなら本当にお見合いなんてする必要があったんだろうかと思うんだけど。

ハルに聞いても全て偶然だったって言い張られ何故だかうまく誤魔化されたような気がする。

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