完璧御曹司の優しい結婚事情
真田さんが結婚していたと聞いた時、ズキっと胸が痛んだ。けれど、こうしていろいろな話を聞かせてもらって、そんな痛みはすっかりなくなっている。そこに恋愛感情があったかなかったかなんて関係なくて、香穂さんを想う彼のその優しさに、愛しさが増すから困ってしまう。


立ち寄った花屋さんでは、香穂さんが好きだったというオレンジ色の花をたくさん入れてもらった。中心で咲き誇るミニひまわりに、限られた時間を力強く生き抜いた香穂さんを感じる。きっと香穂さんは、いつも光のある方を見続けていたのだろう。このミニひまわりのように。


墓地に足を踏み入れると、真田さんは慣れた様子で歩みを進める。きっと、何度も訪れているのだろう。ここへ来るたびに、真田さんは胸を痛めていたと思うと切なくなってくる。でも、今日の彼はとても晴々としている。その姿に少しだけホッとした。

「ここだよ」

香穂さんは、この広い墓地の中ほどに眠っていた。飾られていた花はまだそれほど傷んでいなかったけれど、全て取り出して新しいものに入れ替える。真田さんが手際良く整えていく横で、私もわずかに生えた雑草を抜いたり、小石を除けたりしていく。

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