完璧御曹司の優しい結婚事情
「僕の家に置いておく分。クローゼットも葉月のスペースを用意してあるから。いつでも気軽に泊まれるようにね」

「だ、だめです。昨日だけでもたくさん買ってもらったのに、更になんて……」

「可愛い恋人に、自分の選んだ物を着て欲しいんだ。だめかな?」

うっ……
懇願するように覗き込まれて、言葉に詰まってしまう。
これ以上買ってもらうわけにはいかないのに、こんな目で見つめられたら、はっきり拒絶することもできない。

「樹さんの気持ちはすごく嬉しい。けど、買ってもらいすぎるのは心苦しいから、今回だけで……」

「よかった。葉月の許可が出た」

嬉しそうに微笑む樹さんを見て、ドキリとする。本当に樹さんは、私を甘やかしすぎだ。

「葉月の好きなブランドってある?」

「特にこだわりはないけど……今日のような服装が多いかな」

「そう」

樹さんは頷くと、手を繋いだまま歩き出した。通路の両側に並ぶお店をキョロキョロ眺めながら歩く様子は、なんだか可愛くて、彼を少しだけ幼く見せていた。

< 246 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop