完璧御曹司の優しい結婚事情
樹さんは、時折足を止めて店内を眺めながら、私に質問を重ねた。

「好きな色は?」

「黄色……かな」

「黄色の服はたくさん持ってる?」

「カーディガンとスカートは持ってる」

服の質問なんだけど、なんだか自己紹介をしている気分だ。

「これなんてどう?」

樹さんが手に取ったのは、白地のフレンチ袖のワンピースだった。ウエストあたりから小花模様が広がっていて、裾に行くほど柄が多くなっていた。

「可愛い」

私が思わず発した言葉に満足そうに頷くと、樹さんは試着をするように促した。

「どうかなあ?」

試着室を開けて、樹さんに姿を見せた。樹さんは私をくるっと回して全体を見ると、満面の笑みで頷いた。

「うん。よく似合ってる。これにしよう」

チラッと見えた値札に一瞬たじろいだものの、〝今日だけ〟と心の中で呟いて素直に従った。

それから、他のお店でもう2着購入も買ってもらってしまった。どれも樹さんが選んだものばかりだ。気が引けてしょうがなかったけれど、満足そうな彼を見てしまうと、何も言えなくなる。



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