年上同期の独占愛~ずっと側に
何なんだろう・・・何で橋本さんに林君のことや神田さんのことをとやかく言われきゃいけないんだろう。林君については、裏切られたのは私の方だ。別れ話の時ですら信じてくれだ、好きだと言われていたのに、私と別れた後間を置かず立花さんと結婚を決めたのだ。その傷は今もまだ癒えていない。神田さんに至っては付き合ってもないのにそのことにとやかく言われたって、何も答えようがない。

何分間そうしていただろうか・・・
橋本さんも黙ったままもう話しかけてこないし、動こうとしない。私から話しかけることもなく、二人で黙ったままずっと座っていた。

時間がたってくると、別にそこまでムキになって橋本さんに言い返すほどのこともなかったな、と冷静になってくる。

つい、劣等感から強い口調で言い返してしまったが、何を言われようがもう終わったことだし、聞き流せばよかったのだ。ましてや聞かれてもいない亮のことまで持ち出して、どうせ振られましたけど、など言ってしまった・・・。
大人げなかったな。橋本さんには面倒な女だと思われただろう。

「怒るなよ。悪気はなかったんだ。ごめん。」

「いえ。私の方こそ、ごめんなさい。ムキになりすぎました。」

「謝るなって。俺が悪かったんだから。」

そう言いながら立ち上がり、私の頭をポンと叩くと、行こうか、と手を差し出してくる。
差し出してくれた手を借りて立ち上がり、ありがとう、とお礼を言い、二人で駐車場まで歩く。

車に乗るときまでほとんど話さず、車に乗ってからも、月曜からの仕事の話と、道を聞かれる程度でほとんど話ははずまなかった。

家の側まで送ってもらい、お礼を言って、じゃあ、また会社で、と言って降りようとしたが、橋本さんに読みたがっていた小説を買ったのを思い出し紙袋から取り出す。

「これ、まだ読んでないって言ってから。今日はたくさんごちそうしてもらって、お礼にもならないですけど。」

そう言って差し出すと、え?と戸惑った様子で本を取り出す。

「俺に?ありがとう!すっげぇ嬉しい。これ野崎さんはもう読んだの?」

「最後の下巻だけ読んでないです。」

「じゃあ、読み終わったら貸すね。早速読むよ。ありがとう」

「お忙しいでしょうから、無理なさらずに。シュシュも買っていただいてありがとうございました。」

「どういたしまして。」

「じゃあ、また。ありがとうございました」
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