年上同期の独占愛~ずっと側に
ううん、そろそろ帰る、と言おうとすると、私の腕を掴んで引き寄せ、もう片方の手で後頭部に手を当てて、自分の胸に抱きこんだ。

まだ少し酔っている頭がうまく働かないが、橋本さんに抱きしめられているのがわかった。
一瞬遅れて、橋本さんから体を離すと、ソファから立ち上がり、橋本さんを見下ろした。

「・・・座って。」

橋本さんはもう一度私の腕を掴んで、ソファに座らせた。

「もうそろそろ気づいてよ。俺がどれだけ我慢してるかわかってる?」

「・・・・・」

「野崎さん、色々あったみたいだから、少し時間かけようと思って、俺なりにゆっくり距離を詰めてきたつもりなんだ。
もっと強引に迫ろうと思ったことも何度もあったんだけどさ。野崎さん、なかなかガード硬いから。誤解もしてたみたいだし。
だけど、今日の野崎さんは一段と可愛くて色っぽくて。俺もう無理だから・・・」

そう言いながら抱きしめてくる橋本さんの腕から抜け出そうとしてもびくともしない。

「・・・橋本さん」

「ん?」

「帰る・・・」

「・・・朝送るから。今日は一緒にいようぜ。心配しなくても何もしないから。」

それから5分くらだろうか、橋本さんの腕の中からようやく解放されて体が離れると、頭がスッキリしていて酔いもすっかり醒めていた。

「家に連絡もしてないから、帰ります。今日はありがとうございました。」

「・・・じゃあ、タクシー呼ぶから待ってて。」

「電車のほうが早いから大丈夫。」

「でも・・」

「じゃあ、駅まで送ってもらってもいいですか?」

二人で駅まで歩く間、橋本さんはずっと私の手を握ったままだった。
駅前まで来ると、もう一度私の腕を引き抱きしめた。

「日曜日、会いたいな。明日でもいいけど」

「・・・」

「野崎さん、俺と会うの嫌だ?俺がこんな事言うの困る?」

「・・・困るっていうか・・、混乱してしまって。。
橋本さんは真面目で、誠実な人だって言うのはわかってるんですけど・・・。だけど・・・」

ダメだ、言葉が続かない。
林君のことがどうしても頭に浮かんでしまい、どんなに誠実だと思っていた人でも、嘘もつくし、裏切りもするってことをつい最近経験したばかりだ。
だけど、林君と橋本さんを今の時点で同類に考えるのは失礼なことはわかっている。
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