年上同期の独占愛~ずっと側に
「野崎さんはさっき、林もその前の彼と同じように平気で女性を裏切れる人かもって言ったけど、俺はちょっと違うと思うんだ」

「え?」

「恋愛下手の不手際ってうかさ。自分ではちゃんと整理つけて野崎さんと付き合うことにしたつもりだったけど、結果整理できてなかったんだと思う。裏切ったつもりはなかったんじゃないかな。浮気症っていうのとは違うと思うんだ。」

それはそうかもしれないし、本人もそんなようなことを言っていたけど、立花さんと関係を持ったのは、私に告白してきた後なのだ。やっぱり裏切りだと思う。

「その前の彼に裏切られたあと、林と色々あって、男のこと信じられないっていう野崎さんの気持ちもわかるけど、その前の彼と林とは事情が少し違うし、俺だって、絶対に野崎さんを裏切ったりしない。
萌々香さん、俺を信じて、俺と付き合ってほしい」

テーブルにのっている紅茶に手を添えていた私の手を握り、真正面から目を射抜かれるように見詰まられ、真剣な口調で言われた言葉に、何て返したらいいのか言葉が浮かんでこない。

「俺と一緒にいて少しでも嫌だったり心配なことがあったらすぐ言ってほしい。不安にさせないって約束する。だから安心して俺の側にいてほしい。」

そんな風に言ってくれるのは心から嬉しい。
その反面、そんなに自信満々に言ってしまって大丈夫なのだろうか、と疑う気持ちもある。

嫌なことや不安に思ったことがあっても、自分の単なる我儘との境目がわからない。何でもかんでも打ち明けて、問いただすように責め立てていたら、誰だってすぐ愛想をつかされるだろう。そんなことになるくらいなら、今は誰とも付き合わないほうがマシだ。

「橋本さんと、前の彼とかを一緒だとか思ってるわけではないんです。橋本さんが誠実なのはちゃんとわかってるし、橋本さんがどうせ私を裏切るだろうとか、今から決めつけているわけでもないの。
ただ、私は元々すごい我儘だし、その我儘を全部橋本さんにぶつけていたらお互い疲れると思う。
今はまだ前の恋愛の整理がうまくついていないし、こんな状態で橋本さんと付き合ったって上手くいく気がしないから・・・
だから、ごめんな・・」

「それでもいいから。萌々香さんの我儘全部受けとめたいんだ。
俺のこと少しでも好きなら付き合ってほしい。」

最後まで言わせてもらえず、遮るように再び付き合うように言ってきた橋本さんに対し、これ以上何も言うことができず、黙り込んでしまう。
しばらく黙って私を見ていた橋本さんも、ふっと息をついて、私の手を放し、頭をポンポンと叩いた。

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