年上同期の独占愛~ずっと側に
それから二人でケーキを食べてから、近くにミニシアターがあってそこで今上映している映画がとてもいいらしい、というので、行ってみることにした。ミニシアターに向かう途中はお兄さん夫婦のお子さんの話や最近読んだ本の話など、他愛もない話をしながら歩いた。

チケットを橋本さんが買ってくれて席に着くと、手を掴まれ橋本さんの腕に絡めるように繋がれた。

「少し寒くないか?」

結構強引な行動に驚いて見上げると、目を細めてふっと笑うと、そのまま前を向いてしまった。

仕事中のクールで何となく距離を取りたがる印象の橋本さんが、こんな風にスキンシップを取ってくるなんて意外過ぎて胸のドキドキが激しくなる。

映画は事情があり小さいころ家族がバラバラになってしまって、孤独な生活を過ごしていた主人公は、家族、というものに不信感を持っていて、久しぶりに会った家族に対して冷たい態度をとってしまっていた。しかし、友人や恋人と触れあい、支えられながら再び家族の愛を感じられるようになる、という物語だった。

酷い言葉を家族に投げかける主人公に対して、友人、恋人が暖かく彼を迎え入れ側に寄り添っている姿に、とても感動してしまい、映画の最後の方は本格的に泣いてしまった。

涙を拭こうと橋本さんから離れようとしたが、橋本さんはそれを許さず、ハンドタオルを私の顔にかぶせ、ついでにティッシュを私の鼻に押してたから、私は慌てて自分で鼻を拭いた。それを見て橋本さんは、なんだ、拭いてあげたかったのに、と揶揄うように笑っていた。

映画館を出ると、すっかり日は落ちていて、辺りは暗くなりかけていた。

「少しだけ飲んでかない?」

「うん。だけど、この辺お店あるのかな。」

「じゃあ、俺ん家行く?」

「・・・・・」

「ふっ。冗談だよ。原宿に行ったことあるお店あるから」

そう言ってタクシーを拾う。
別に、橋本さんの家が嫌だったわけじゃないけど、どうせまた帰るときに、送るとか言ってくるに決まってる。
明日仕事なのに、この時間に車で往復させるのは悪いと思ったのだ。

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