年上同期の独占愛~ずっと側に
入り口からバタバタと音がして何事かと思っていたら、同期の橋本さんが「遅れてすみません」と言いながら入ってきた。
「全然遅れてませんよ。開発部門の方はあっちに固まってらっしゃるみたです。」
席に誘導しようとすると
「もっと早くきて手伝おうと思ってんだけど、遅れてすみません」
恐縮した様子で原さんに謝っている。原さんは、
「じゃあ、俺は奥行ってるから、何かあったら呼んで」
と私のほうを見ながら行ってしまった。
「原さん、野崎さんには甘いのな。吉村さんも。」
橋本さんは私と話すときはいつももっと丁寧な口調の印象があるが、低めの不機嫌な様子で話すので、仕事も忙しそうだし疲れているのかと思い、先に座っててもらおうと声をかけた。
「皆さんと一緒にあっちで座っててください」
「手伝いますよ、野崎さん一人に任せるわけにいかないし。っていうか、お店の予約とかありがとう。全部お任せしちゃって・・・」
「いえ。橋本さんが謝ることじゃないですから。今日も原さんが手伝ってくれたので大丈夫です。時間になったらお酒運んでもらうので、橋本さんも席座ってください」
「そんなことしたら原さんに怒られるよ。」
「ふふ。原さんはそんなことで怒りませんよ。」
「ほんと、野崎さんには甘いんだな」
・・・原さんは私に甘いというか、色々心配かけてしまっているから気遣ってくれているのだろう。橋本さんまで巻き込んで申し訳ないが、結局席に誘導しながらお酒とお料理のタイミングをお店の人と話すのは大変で、私がバタバタしている間に、橋本さんが進めてくれていた。ここは大丈夫だから座っててください、なんて言っときながらすっかりお世話になってしまった。
本当は各部門長やいつもお世話になっておる方にお酌して回りたかったのだが、お酒や料理の手配が忙しく個室の入り口付近にずっと待機したままにいた。すると、いつも経費の精算処理などでお世話になっている総務担当の藤崎さんが、お皿を手にやってきた。
「お疲れ様、全然食べてないでしょ。これどうぞ」
う~ん、嬉しい!お酒はもともと好きじゃないのだが、正直お腹はペコペコだった。かといってどこかのテーブルに行って料理をとってくる暇がなかったので、もうほとんどあきらめていた。
「野崎ちゃん、ずっと立ちっぱなしでしょ。ここ変わるから少し皆と飲んできなさいよ。」