年上同期の独占愛~ずっと側に
「うん。小野にしか言ってないんだ。
付き合ってまだ一年たってない彼女なんだけど、友達の紹介、まあ、合コンみたいな感じで知り合った人で、東京の人なんだ。
知り合ってからずっと遠距離だから、あまり会えてなくてさ。今年中に東京に転勤になるんだって話をしたら、じゃあ、そのタイミングで一緒に住もうって話になって。
同棲自体に抵抗があるわけじゃないから、それもありかな、って思って話を進めてたんだけど、両親たちがだったらちゃんと籍も入れなさいって言ってきて。
その話を小野にしたんだ。具体的に日取りとか決まってるわけじゃなくてさ。そもそも東京に転勤になるのだってまだ言われたわけじゃないし、今までの先輩たちが大体これくらいだってだけの話だし。彼女にもそのことはちゃんと伝えてあるんだ。」

俯き加減のまま小さい声でボソボソと話す林君はいつもの林君らしくない。私の知っている林君は、いつも堂々としてて、私の顔を優しく覗き込んで目を見ながら話をしてくれる。
話している内容が内容だけに仕方ないのかもしれないが、別人のようだ。

「だからね、小野はあんな言い方してたけど、俺は本当に萌々ちゃんが好きで、一緒にいたかったんだ。彼女いる身で軽率だと責められても仕方ないけど、一夜の遊びとか、そんなつもりはなかったんだよ。」

「・・・・・」

「萌々ちゃん。好きです。ずっと前から。今お付き合いしている彼女とはちゃんとするから、そしたら俺と付き合ってください。」

「・・・・・」

「もう傷つけるようなことしないから。約束する。萌々ちゃんの側にいさせてほしい。」

「・・・無理です」

「萌々ちゃん・・・」

「ごめんなさい」

亮のことを思い出した。
亮と林君は全く別だと頭ではわかっているものの、結婚の話まで出ている恋人がいるのに、他の女に手を出そうとした時点で、結局亮とやっていることと変わらないじゃないか、と思ってしまう。一度こういうことがあった人はまた同じことを繰り返すのだろう、と疑ってしまう時点で、私にはもう無理だ。

「・・・・ちゃんと、彼女と別れて、そしたらもう一度言うから。だから俺あきらめないから。」

「・・・ごめん、無理なんだ。だから、彼女のこと大事にしてあげてください。」

「俺だって、もう無理なんだ。萌々ちゃんを忘れるなんてできない。」

「・・・・・だけど、無理だよ。ごめんなさい。」

結局その日はカフェで別れた。
林君に新幹線乗り場まで一緒に来てほしい、と言われたけど、行かなかった。
林君はせっかく東京に帰ってきたのに、この週末は彼女に会わなかったのだろうか・・・。

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