"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる
ある日の休日。
塀越しに植えたジャガイモの話をしていた時だ。
「町田君、土寄せした?」
「あ」
そういえばある程度育ってきたら追肥して土寄せしてねと言われていた。
すっかり忘れていた。
今回は一人で育てようと思っていたけれど、結局琴音の力を借りている。
買った時点で気づくべきだったが、ジャガイモはタネはタネでもタネイモなので他の野菜と違って初心者の俺には少々難しいものだった。
そのまま植えてしまえばいいんだろうと軽い気持ちでいた頃の俺を殴りたい。
念のためネットで調べてみれば専門用語が多すぎて、結局隣人を頼らざるを得なかった。
買っておいた肥料と土を混ぜて土寄せし、殺虫剤を撒くのも手伝ってもらった。
こうして土寄せするのはジャガイモが地面から出てきて日を浴びないためらしい。
日を浴びたジャガイモは毒素を作り、それを食べると食中毒を起こす可能性があるということで土寄せをした。
「結局、いつも相沢さんに助けられてばかりですね」
「そんなことないよ。私も作りすぎた作物を食して貰ってるからね」
「いや、それも俺は得しかしてないんですよ」
ご飯に誘われた年末以降、ちょくちょくお邪魔している。
もちろん夫婦揃っての時にしか誘われないし、大洋がいないなら絶対に行かないけれど。
もう何度も夜ご飯にお邪魔していて、今夜もなんだかんだで一緒に夜ご飯を摂ることになっている。