美術室のユーレイ



ユーレイの目がみるみるうちに開いていく。


そして豪快に笑いだした。



「あっひゃひゃひゃひゃ!お嬢ちゃんそんなあたしが悪霊だなんて、あるわけなかろう、あっひゃひゃひゃひゃひゃ!!」


「お腹痛いー」なんて言いながらまだ笑い続けている。



…なんか、愉快な人。


同い年そうなのに『お嬢ちゃん』なんて。


ひとまず悪霊じゃないならよかった。



「あたしも聞いていいか?」とやっと笑い終わったユーレイが目に涙を溜めながら言った。


「なんで此岸の人間なのに彼岸のあたしが見えるんだ?」


「あーそれはね…」





私が今まで体験したことや


此岸と彼岸の境の人間になったことを話した。



「ふーん…川村美斗かぁ…」


「知ってる?」


「知ってるよ」


「知ってんの!?」


「そりゃ知ってるさ。この高校で初めて美術のコンクールで賞を取った輩でしょ?あの時はもう学校中大盛り上がりだったなぁ」


懐かしむように目を細めている。



「そうだったんだ。賞を取ったあの絵、いいよね!」


「いや、絵は見てない」


「ええ!?なんで?」


ユーレイも言ってたけど、この高校で初めて賞を取った絵だよ!?


気にならないのかな。


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